未来のミライ

ブログ始めました。

初回は昨日見てきた「未来のミライ」について語っていきたいと思います。

※初回からなんですが、ネタバレオンパレードなのでご了承いただける方のみお願いします笑

 

ストーリーと概要

 

時をかける少女」、「サマーウォーズ」、「おおかみこどもの雨と雪」、「バケモノの子」の細田守監督の最新作、それが「未来のミライ」です。

 

http://img.unitedcinemas.jp/preview/mirai-movie/images/poster.jpg

 

ストーリー(公式より)

「ある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。

ある日、甘えん坊の“くんちゃん”に、生まれたばかりの妹がやってきます。
両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うばかり。
そんな時、“くんちゃん”はその庭で自分のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ、
不思議な少女“ミライちゃん”と出会います。

“ミライちゃん”に導かれ、時をこえた家族の物語へと旅立つ“くんちゃん”。
それは、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした。

待ち受ける見たこともない世界。むかし王子だったと名乗る謎の男。
幼い頃の母との不思議な体験。父の面影を宿す青年との出会い。

そして、初めて知る「家族の愛」の形。」

 

妹のミライちゃんが生まれることで、親がミライちゃんにばっかりかまける。嫉妬でいじけて電車をずっといじっている少年くんちゃん。この映画はそんないじけてばっかりのくんちゃんが色々な不思議な体験を経て成長する。それがこの映画の核です。

 

映画の重要な舞台装置

 

「皆ミライちゃん、ミライちゃんって…‥!」とまあこれだけではただの家族あるあるですが、映画を面白いものに引き上げているのが、建物の存在です。

 

映画館でワクワクしながら映画を待ち望んでいた人がまず驚くのは「街」の大きな引き映像とヘンテコな形の「家」です。そして子供が生まれた事で増築され形の変わった新たな「家」を見る事になります。変な家の形だなーと全員思います。映画内でも父親が建築家だからねぇという台詞でもこの点が補完されています。

 

でもこれ見る人が見るととても有名な建築スタイルなんです。メキシコの有名な建築家ルイス・バラガンが創作したフアレス邸にとても似ています。(ルイス・バラガンで画像検索して見てください)

ルイスバラガン - Google 検索

画像を見てわかるように映画で見た階段がありますね。

 

バラガンが建築家として秀でていたのは光の取り入れ形です。自然光を家の中に取り入れる事で自然の美しさを家に入れることを可能にしました。画像検索を見ても自然光の綺麗な画像であふれています。

 

くんちゃんの家も、父親の建築によって中庭に自然光が入るような家にされています。この自然光が日常から離れた不思議な体験を得るための非日常性を生み出す重要な舞台装置になっているんですね。

 

今回の映画で非常に興味深いのは、細田監督の新たな試みとして「モノ」、「建物」、「場所」といったものにフォーカスを当てているところにあると僕は思います。

 

好きなものと好きくないもの

 そんな非日常の中庭ではいろんな不思議なことがおきます。未来から来た妹のミライちゃんと遊ぶ。犬が人に、人が犬になる。ひいじいじと共に馬に乗る。そして未来の自分と出会う。

 

自分と遊んでくれない親、愛を全てもらい受けている(ように見える)ミライちゃん。日常は好きくないものであふれています。非日常の中庭ではいろんな人が遊んでくれるのでくんちゃんは楽しい。そのようにストーリーは進みます。

 

途中までは日常が辛いから非日常の楽しさで補完するくんちゃんの物語か、と思います。少なくとも自分はそう思いました。でも最後の不思議体験はそれを覆して来ます。

 

鉄道が大好きなくんちゃんですが、未来の東京駅で迷子になるシーンが出て来ます。

(※ちなみに建物オタク的な話でいうとあれ未来の東京というよりは今のイギリスやフランスの鉄道駅に近いです笑)

 

そこで、くんちゃんは大好きなはずの新幹線に好きくないもののミライちゃんが取られそうになる。そこでくんちゃんはミライちゃんを選びます。自分の好きよりも家族への愛を優先する行動を取るのです。ここに好きなものと好きくないものの逆転が見られてます。

 

非日常から日常へ

 

そして物語はラストへ向かいます。

 

ひいじいじが戦争から何とか生還したこと、ひいばあばにプロポーズするところを不思議体験で見ます。もしひいじいじが戦争から生還していなければ、ひいばあばと結婚できていなければ……etc。様々な奇跡の上でくんちゃんとミライちゃんは生まれて来た。

 

タイムリープ的な非日常体験によって日常が奇跡によって成り立っていることを知ったくんちゃんは家族のために行動できるような人間になることができました。

 

非日常で日常を補完するのではなく、非日常から日常の大切さを知り、しっかりと社会を歩み出す。タイムリープが家族愛を知るための重要な方法になっているところにこれまでの細田監督の足跡を見ることができるように思います。

 

 

 

時をかける少女」でのタイムリープ、その後の家族愛作品を経て、さらに「建物」や「場所」といった新たなテーマを盛り込むという、細田守監督の持てる全て乗っかったとても良い作品でした。